Io l'amo
―――…ガラッ

音を立て、扉を開くと「よっ」と短い挨拶が聞こえた。

「蒼汰、早かったね。こんな時間にいるなんてめずらしいじゃない」

「まぁな。結蘭が来ると、思ってたから。」

「何、ソレ。テレパシー?」

「いや、双子の勘じゃね?なんかそんな気がした」

「ははっ、勘、ね。大当たりじゃない。」

「まぁねー。んで、どうした?」

ぐいっと制服の袖をひっぱられ、蒼汰に倒れこむような形で倒れこんだ。
蒼汰の制服から香る匂いに、頬を緩めた。

「これ、隼人とおんなじ香水でしょ。まだ追っかけてたの?」

「んぁ?香水…、あぁ…隼人さんに貰ったやつ」

「もらったんだ。隼人、蒼汰のこと弟みたく思ってたもんね」

「それはいいとして、どうしたんだよ、結蘭」

無駄に勘の鋭い、彼。
鈴木蒼汰(すずきそうた)は、私の弟。
女の子に騒がれていて、「王子様」だなんて呼ばれてる。

「隼人のこと、思い出しちゃってさ。このまま授業受けても、身に入らないでしょ?」

「しかも、一校時目は、島崎の授業だ、と?」

「なんで分かるのよ。」

「いや?そんな感じがしてさ。他のヤツだったら、思い出さないだろ?」

「そう、だね。その通りだよ、蒼汰」

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