【BL】No Titlexxx
「寒いんだろ?これ着てろ。」
自分のファーのついた真っ黒なコートを俺の肩にかけながら、立てるかって聞かれる。
「ん…。」
小さく頷くと、半ばルキに立たせてもらいながら立ち上がる。
手を引かれながら家に向かう。
肩に掛けられたコートや握られた手が、ルキの冷たい性格には不釣り合いなくらい温かくてびっくりした。
当たり前のようにポケットから鍵を出して玄関のドアを開けるルキを俺はぼんやりと眺めていた。
靴を揃えてる余裕なんてなくて、リビングに入ってストーブの前に座る。
座ったときに全身に鈍い痛みが走って、そういえば散々殴られたんだって思い出した。
ストーブから吐き出される温かい風に睦野に踏まれたときに打った頬がヒリヒリと痛む。
なんか思い出したら急に疲れが押し寄せてきて、ストーブの前で横になる。
ルキが何か言ってたけど聞きとれないくらい眠くなって、俺は酷い睡魔に襲われ意識は暗闇に落ちていった。
「……クオ。」
肩を揺さぶられ俺は重い瞼を持ち上げた。
壁に掛かってる時計を見てみれば、あれから一時も経っていた。
「ケガの手当てすんぞ。」
体を起こすとテーブルの上に薬局の緑色のビニール袋があった。