恋する背中をつかまえて


あたしの左手を手に取り、
大きな掌を添えたまま。

自分の頬に触れさせた。





桜井さんと目があった。

この至近距離で見つめられると
視線を巧く逸らせない。





逸らすと勿体ない気がするとか
そういうのじゃなくて、
逸らしたくなくなるのが

不思議だった。



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