恋する背中をつかまえて


躊躇いがちに伸ばした手を、
桜井さんの力強い腕が
ぐいっと引き寄せる。



と同時に。

あたしの身体を
総て預ける形になっていた。





あ…この感じ…

この体温を知ってる気がする。



誰かの体温を感じて、
こんな不思議な気持ちに
なったことなんかない。



肌と肌が共鳴してる。



何かに導かれるみたい。

そっと桜井さんの頬に触れ、
首に指が触れる。



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