恋する背中をつかまえて


「…俺の家族にも、
ちゃんと美羽を会わせたい」



崇志の家族…?


会わせたいって…





「ちゃんと、
美羽のご両親にも会いたいんだ。

ちゃんと…」



心配かけたくないんだ、

と小さな声でぽつりと呟いた。



そんな風にあたしに
考えていてくれたことが、
物凄くうれしかった。

無条件でうれしかった。



その言葉だけで、
救われた気がした。



「あたしと…
会わせてくれるの?」

「弟が会いたがってる。
時々呑むから、美羽のことを
こぼしたことがあったんだ」



会ってくれるか?って
聞いた時の横顔が、

また凛々しくて。


あたしは素直に頷いていた。



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