恋する背中をつかまえて


「ない頭でよぉく考えろよ?

お前に告白すんのに
四苦八苦してた俺が
慣れてるって言えるか?」


ない頭ってなによ。

どーせない頭だもん。



ようやく睨むように
眼を見れた時、
崇志の瞳が今までで

一番優しかった。


気のせいかもしれないけど。



視線が甘かった。



そもそも視線に甘いなんて
いう表現があるのか、

よくわかんないけど。





「俺には美羽だけで、
もう手がいっぱいだよ」


頭の上に崇志の頭が乗っかると
そのまま頬と頬がくっついた。


キスするより近くに。

その頬が触れられるより
嬉しかったけど。





それは崇志には言わない。



.
< 225 / 423 >

この作品をシェア

pagetop