恋する背中をつかまえて


車に乗り込むとハンドルに
腕を乗せた桜井さんが、
何か言いたげに
目を泳がせている。





「ダメ…だった…?」


沈黙に耐えきれなくて、
思い切って聞いてみた。



「ズルいよ、美羽は」

「…何、が?」



答えが怖くて声が震える。
何がズルいんだろう?


高いものいっぱい買って
もらっちゃったから?

だってあんな高い服、
あたしには買えないもん。



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