恋する背中をつかまえて


ふたりでベンチに腰掛け
ぐっと背伸びをした。


それだけでも心地良い。



時折頬を撫でる風が
心を穏やかにして、
凪いでいくような
気持ちにさせてくれる。






「何もかもを禁じていたら、
美羽が倒れちゃうよ?」



真剣な眼をして
紗雪が言ってくれている。

…痛いほど解るけど…



彼女はそんな言葉を冗談で、
むやみに使う人ではない
とあたしは知っている。



だからこそ素直に頷いた。



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