恋する背中をつかまえて


「指輪をもらった時は、
離れていても無敵だって
思っていたんだよね…」



そう信じたいという気持ちが
強かったのかもしれない。


今までが
距離みたいなものだったから、
逢えない日が多いことに
慣れていたつもりだった。

野球選手は
遠征に次ぐ遠征。
地方から地方へ。


本拠地だけにはいられない。



北は北海道から
南は福岡まで。

ドームが増えてから
中止も格段に減った。




逢えない日が多いのは
もちろん当たり前。





だから、
指輪という分身が傍にいる分、
以前より強くなれるつもりだった。



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