恋する背中をつかまえて


でも。

それはふたりの関係の
破滅を意味する。


球団が買い取って
護ってくれた恋だから、

この恋を失う訳にはいかない。





「相手はどう思ってるの?

美羽だけが淋しい訳じゃ
ないんでしょ?」

「もちろん淋しいって
言ってくれてるんだけど…

今は我慢の時だからって」



これ以上、

周りに迷惑をかける
訳にはいかない。


それがふたりで
出した答えだった。





「あたしだったら
もう耐えられないから、
ただ顔見るだけでも
会いに行っちゃうなぁ…

ってあたしが子供だからかな、
ごめんね、美羽」



申し訳なさそうに
苦笑いを浮かべる紗雪に、
あたしは何も言えなかった。



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