恋する背中をつかまえて


何も犠牲がないに
越したことはないんだけどね、

と呟いて微笑む彼女。



悪戯っ子みたいに舌を出して
おどけてみせるけど。


一緒に笑ったらちょっと
肩の力が抜けた気がする。



…なんだか紗雪らしい。



尻込みして、
立ち止まるあたしの背中を
威勢良く叩いてくれたんだね。



ありがとう。



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