恋する背中をつかまえて
ちゃんと前だけ向いて。
崇志だけ見つめて。
好きでいたいから。
「美羽ちゃんに紹介する時、
ひとつ何でも願いを
叶えてくれるって
…約束したよね…?」
あの時の崇志を思い出す。
軽く手を挙げて。
爽やかな憎めない
屈託のない笑顔。
「ちゃんと美羽ちゃんは
誰よりも幸せでいて欲しい。
…約束出来るね?」
涙が出そうだった。
頭を下げて休憩室を後にした。
慌ててお手洗いに駆け込むと
壁にもたれたまま、
へたり込んで動けなかった。
浅野さんがくれたカフェオレは、
なんだかいつもより
ちょっとだけ苦かった。
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