恋する背中をつかまえて
6回裏 MVPは渡さない
* * * * *
自分から離れたはずだった。
美羽を傷つけることも。
淋しがらせることも
泣かせてしまうことも
全部解っていた。
そして。
美羽が逢いに来ることは
ないだろうというのも、
なんとなく解っていた。
…それなのに…
泣きそうなほど淋しくて、
悲しくて胸が痛いのは
どうしてだろう…?
あのはにかんだ笑顔も、
困らせて拗ねたような横顔も
腕の中で一晩中抱き寄せた瞳も。
この手で護りたかったのに。
.