恋する背中をつかまえて


* * * * *


久々に高速で名古屋に向かう。

美羽に逢うため走り慣れた道。


美羽と離れてからは、
移動手段が新幹線や
飛行機が多くなり、

自らハンドルを握る
機会が減っていた。



助手席には、

美羽が降りてから
誰も座らせていない。

仄かな美羽の匂いを、
消してしまいたくなかった。



申し訳なさそうに、
ちょこんと座る美羽の幻影を
今でも見ることがある。



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