恋する背中をつかまえて





「…美羽」





マイク越しに聴こえた、
柔らかい崇志の声。





聞き間違うことはない。


絶対に何かを言う。

何かをやってしまう。



でも。

止められない自分がいる。
見届けたい自分がいるの。



思わず歩を止めたあたしに、
見たことがないような
満面の笑顔を携えて。

満塁ホームランみたいな
爆弾過ぎる言葉を添えた。



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