恋する背中をつかまえて


「…お母さん…」



言葉にならなかった。


どうして?

どうしてここにいるの??






お母さんの背後から、
眉間に皺を思いっきり寄せた
お父さんが姿を見せた。



「桜井さんって人がね、
部屋を取ってくれたんだよ」

穏やかな口調の中に
心配そうな声音が混じる。



あたしのために…?



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