恋する背中をつかまえて


弾む、途切れた吐息。


肩が上下に激しく揺れてる。

そんなに急いでくれたの…?





「…お待たせ…した上に…
大事なお嬢様に…ご迷惑を…」


繋がらない声が、
それを答えの代わりに
証明していた。





いいのよ…と

胸の前で大きく
手を振るお母さんに、
頭を深く下げた。

お父さんはまだ
こちらを見ようとすら
してくれていない。



…お父さん…



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