恋する背中をつかまえて
暫くの無言の後、
我に返ったあたしが見たのは
足下で土下座する崇志の背中だった。
「… 崇志 …!」
思わずしゃがみ込むあたしが
崇志の肩に触れる直前に、
切り裂くような
鋭い声音が響いた。
「… この度は!」
あたしの手が止まる。
触れちゃいけない。
そんな気がした。
「美羽さんにご迷惑をお掛けし
大変申し訳ございませんでした!」
額が床に擦り付けてある。
こんな必死な横顔、
見たことない。
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