恋する背中をつかまえて
* * * * *
ホテルの部屋の扉を開けると
美羽がへたり込んでいた。
腰を抜かしてしまっていた、
という方が正しいかもしれない。
「…美羽?」
いつものように名前を呼ぶ。
そんな当たり前のことも
今は何故かたまらなくうれしい。
美羽の細くてか弱い肩に手を置き
視線を自分へとかき集める。
「…だい…じょうぶなの?」
…俺のせいだな。
ごめん。
いつも心配ばかり…
「大丈夫…」
俺には美羽を
抱き締めてあげるしか、
安心してもらえる術がない。
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