恋する背中をつかまえて
「ほら〜、
ため息つくと幸せって
逃げちゃうって言うじゃない?」
肩に乗せられた掌が
妙に暖かく感じた。
気のせいかもしれないけど。
「うん、それはわかってる
…んですけど…」
矢野さんが、
そっとお母さんみたいに
優しい笑みを浮かべたと思ったら…
あたしの手をぐっと引いた。
「ご飯、一緒に食べない?」
あたしは矢野さんへの
返事の代わりに、
痛いくらいに首を縦に振った。
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