恋する背中をつかまえて


鍵が開く音がして、
身体が反射的に玄関へと
足を向かわせる。



告げるのが怖い。



でも、きちんと話さなきゃ。





どのタイミングで?

どんな言葉で?

どんな表情で…?



「美羽…?」



あたしの表情を見つめ、
愛しい人が覗き込む。


頬に触れた掌が
たまらなく優しくて。

たまらなく柔らかくて。



泣きそう…



「どうした…?」



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