恋する背中をつかまえて
あたしの身体をふわっと
柔らかい感触が包み込んだ。
…腕…?
恐る恐る見上げると、
崇志がそっとあたしを
抱き締めていてくれた。
「悩んだんだろ…?
…ったく、美羽は…!
何で俺にすぐ言わない?」
抱き締める腕に
力が込められるのを、
びくっとしながら身構えた。
…怒られた…?
「こんなうれしいこと…
独り占めすんじゃねぇよ」
独り占め…?
うれしい…こと…??
「これからちゃんと、
身体大事にしなきゃな…
もう、ひとりの身体じゃ
ないんだから…」
耳元で囁かれる言葉に
足に力が入らない。
産んでも…いいの…?
迷惑じゃないの…?
あたし… あたし…
「あたし傍にいていいの?」
「ばぁか…!
俺が美羽を離す訳ねぇだろう…
…心配すんな…」
涙が出る…
涙って温かいんだね…
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