恋する背中をつかまえて


護ってるんじゃない。
きっといつも。

この腕で護られてる。

だからこの時だけは
あたしにも護らせて…



仏壇のある畳の部屋に、
本を読んでいる背中が見えた。



…お父さん…



足音には気付いてる。

でも振り返らない。


拒絶でもするように
顔色さえわからない。



視線が下に向いたまま、
妙に静かに時を刻む音だけが
規則正しく続く。



.
< 408 / 423 >

この作品をシェア

pagetop