恋する背中をつかまえて


普通そういうのは旦那が、
「美羽さんを僕に下さい」
って言うんだろうけど。



多分…

隣に固まって座る崇志も
同じ事を考えていたと思う。



…目が白黒してる。


言う言葉を奪われた挙げ句に、
嫁ぎたい、だから。



「…赤ちゃん…を、
授かったかもしれないの…」


どうしても命の話題になると、
言葉が慎重になる。



「あたしは…授かった命
粗末にするような娘に、
育てて貰った記憶はないから」



だから、産みます。


静かに瞳を捕まえて、
離さないように言い切った。



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