恋する背中をつかまえて


腕を組みながら、
黙って聞いていたお父さんが、
眉間に思いっ切り皺を寄せた。

目を閉じて暫くした後。
大きな鼻息が漏れた。



「お父さんは、
順番を間違えるような
恋愛を認めてない」



婚約→結婚→妊娠って
図式を辿って欲しいのね。


「…でも、
命を粗末にするような
娘に美羽を育てた覚えもない」


ぐっと眉間に皺を寄せ、
不服そうな表情をしながらも、
怒るつもりはないみたい。



…ん?



「授かった命は、
きちんと育てないと罰が当たる」

「わかってます」

「お母さんみたいに
きちんとやれるように、
色々今のうちから訊いとけ」



…ったく…と言いながら、
新聞に再び手を伸ばす。



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