恋する背中をつかまえて
「顔色って…?」
「ここ数日、顔色がちょっと
悪かったからね」
知らないうちに
気遣っていてくれたんだ…
「でね、美羽ちゃん」
手に持っていた茶封筒を
おもむろに手渡された。
「うちには産休があるから」
え… …?
「俺が何も知らないとでも
思ってたらショックだなぁ…
美羽ちゃんに桜井を
紹介したのは誰だった?」
まさか…!
「ちゃんと話聞いてくれって
わざわざ電話があったんだよ」
崇志が…
電話で…
「美羽ちゃんに、
きちんとしたかった仕事を
させてやりたいからって」
…まったくあの人は…
どこまで王子なんだろう…?
先手、先手ばっかりで。
あたしが寂しい時に、
突然姿を現してみせたり。
抱きしめて欲しい時に
ちゃんと腕を広げて待っていてくれる。
おかえりって。
そっと穏やかに微笑んで
言ってくれているような気がするよ。
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