恋する背中をつかまえて


滲んで見えていた桜井さんの
輪郭がわからなくなった。


輪郭はわからないけど、
代わりに優しい腕に
包まれていることがわかった。





「…反則…って?」

「そんな目で見つめられたら、
抱きしめたくなるのは
当たり前だろ…」


人の気も知らないで、と
ぽつりと耳元で呟いた。



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