恋する背中をつかまえて


「美羽は無防備なんだよ。
狼の俺の前に、
なぁんにも考えず跳んできた、
ちっちゃなうさぎみたい」

「…うさぎ…?」





「あんまり無防備過ぎると、
狼に襲われるから…

ちゃんと逃げてくれよ」



耳元で囁くように言葉を紡ぐ
桜井さんに反応して、
耳が熱くなる。


そんなこと言われても、
ずっと前から桜井さんからは
逃れられないのに。



ずっと囚われているのに。



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