恋する背中をつかまえて


「美羽」って
名前で呼んでくれるたびに、
胸がきゅんってなった。


"締め付けられる"という
簡単な言葉なんかじゃ、
片付けられない切なさだった。



明日桜井さんには試合がある。
これ以上迷惑はかけられない。





わかっているけど…



「桜井さん…あのね…」

ハザードランプを点灯させようと
ちょっとだけこちらを向いた。





その一瞬に、
彼の首許を引き寄せた。



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