恋する背中をつかまえて


* * * * *


離れていても
平等に時間は過ぎていく。


あたしは本来の自分の仕事に
打ち込む日々が戻ってきた。

新人だから、なんて
甘い言葉はもう通用しない。



「美羽ちゃん、
この間頼んだ書類
いつまでに出来そう?」



今は浅野さんからの仕事に
集中しなきゃ…!



「今日中には何とか
仕上げる予定です。

…お急ぎですか?」

「んー、期限もあるし
出来ればもう少し早めに
お願い出来る?」

「わかりました」


桜井さんが
野球をしてることが仕事なら、
あたしはこの仕事を
頑張らないと。



「あんまり頑張りすぎるなよ」

とすれ違いざまに
浅野さんが髪を撫でていった。



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