恋する背中をつかまえて
個人的に二人で会ったことも
今までなかったし、
会う必要性もなかった。
休憩室で会うと、
時々簡単な会話を交わす程度で、
時折野球の会話が絡むくらいだった。
「美羽、
今日中って仕事大丈夫?
あたし手伝おうか?」
「ありがと。
引き受けたからには
きちんとあたしの手で
やっておくよ。
もう少しだし」
「わかった、じゃぁお先ね」
ひらひらと紗雪が手を振って
先に退社していった。
いつの間にか
そんな時間だったんだ。
パソコンに集中してて、
全然気がつかなかった。
んーって背伸びをしていると、
背後から足音が聞こえた。
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