恋する背中をつかまえて
連れて行ってくれたのは
おばあちゃんの家みたいな柱が
屋根裏まで張り巡らしてある、
どこか見たことのあるような
懐かしさを思い出す雰囲気を
醸し出した居酒屋だった。
提灯の灯りが優しく揺らめいて
暖かい感じがする。
運良く個室が空いていて
並んで座る部屋に通された。
「何を飲む?
あ、マンゴーもあるよ」
いつもだったら間違いなく
ジュースを頼むのに、
今日はお酒を飲んでみたかった。
「甘くて飲みやすいお酒
ってどれなんですか?
選んで下さいませんか?」
「えっ… 大丈夫なの?」
「多分大丈夫です。
何がいいですか?」
じゃぁ選んでおくよ、と
浅野さんが頼んでくれた。
.