国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
うっすらと照らされた先にいたのは、心なしか巫女の服装をしているように見える。
「ごめんなさいね。驚かせて」
その声は、間違いなく女性の声で、夜回りをしていた二人の少女は、ほっと胸をなでおろした。
「夜回り当番、ご苦労様。私は巫女のレアと言います」
「え?レア様って、
神が憑依されて創世記をすらすらと語られたという、あの上級巫女のレア様ですか?」
今まで震えていた幼い少女が、目を輝かせてレアを眺めた。
あの日以来、宮殿ではレアの噂が広まり、入ったばかりの巫女見習いまでがレアのことを知るまでになっていた。
「神が降りてこられたわけではないわ。努力すればあなたにもできるわよ」
レアは、自分に羨望のまなざしを向ける幼い少女を見ながら、尾ひれのついた自分の噂に苦笑した。
「本当ですか?私も頑張ればレアさまのように創世記を暗誦できますか?」
「マリカ!いいかげんにしなさい。レア様に失礼ですよ!
申し訳ありません、レア様。この子は先週ここに来たのでまだ何も知らないのです」
マリカと呼ばれた少女は、先輩の巫女見習いにしかられ、しゅんと肩をすぼめた。