国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
二人の巫女見習いがいなくなった廊下は、一気に温度が下がった気がする。
レアは、目の前に並べた薬草に、意識を集中した。
・・こっちがサフランで、こっちがセンブリ。効能は。
毎日新しい薬草を部屋へ持ち帰っては、手で触ったり匂いをかいだりして必死に覚える。
本来、上級巫女である彼女の仕事は施薬であるが、下級、中級を通り越したレアには、
知識も技術もまだまだ不足しており、それは許されていなかった。
辛いことも多かったが、早く施薬できるようになりたくて、レアは寝食も忘れ必死に勉強していた。
それは、もちろん勉強して早く一人前になりたいという向上心によって支えられていたが、
レアにとっては、くたくたに疲れている間は、マルスのことを思い出さなくてすむという利点もあった。
まるで、神に許しを請うかのように、レアは寸暇を惜しんで努力した。
・・夜回りか。
ふと、さきほどのマリカと呼ばれた少女のことが頭に浮かぶ。
巫女見習いとしてたった1週間しかたっていないというのに、
あの前向きな姿勢はどうだろう。
レアは、マリカに、いつも後ろ向きになりがちな自分にない明るさを感じて、
うらやましく思った。