国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい



・・ここまでにしておこう。



レアは一通り薬草の復習を終えると、かごの中に植物をしまい始めた。

たくさんの枝や葉から、さまざまなにおいがする。

その中に白い花をつけた薬草があり、レアは思わず手をとめた。



・・マルス様。



この数ヶ月、思い出さないようにしていたマルスの顔が、一瞬で頭の中に描かれ、

レアはマルスへの思いを打ち消すように、ぎゅっと目を閉じた。



・・何を考えているの!

今は、立派な上級巫女になることだけを考えなくては。



マルスに自分が神の妻だと言い含められてから、レアはなるべくそのことを考えないようにしてきた。

王が神の代理人であることは明白だが、だからといって、マルスと口付けても構わないというのは、何か違う気がした。


だが、マルスの行為を頭から否定すれば、それは彼の言うとおり、

王が神の代理人であることを否定してしまうことになる。


矛盾した考えは、いくらがんばっても堂々巡りにしかならず、

レアは、悩むよりも、今、自分が人のためにできることを考えようと思ったのだった。


< 104 / 522 >

この作品をシェア

pagetop