国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
・・ここまでにしておこう。
レアは一通り薬草の復習を終えると、かごの中に植物をしまい始めた。
たくさんの枝や葉から、さまざまなにおいがする。
その中に白い花をつけた薬草があり、レアは思わず手をとめた。
・・マルス様。
この数ヶ月、思い出さないようにしていたマルスの顔が、一瞬で頭の中に描かれ、
レアはマルスへの思いを打ち消すように、ぎゅっと目を閉じた。
・・何を考えているの!
今は、立派な上級巫女になることだけを考えなくては。
マルスに自分が神の妻だと言い含められてから、レアはなるべくそのことを考えないようにしてきた。
王が神の代理人であることは明白だが、だからといって、マルスと口付けても構わないというのは、何か違う気がした。
だが、マルスの行為を頭から否定すれば、それは彼の言うとおり、
王が神の代理人であることを否定してしまうことになる。
矛盾した考えは、いくらがんばっても堂々巡りにしかならず、
レアは、悩むよりも、今、自分が人のためにできることを考えようと思ったのだった。