国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

マルスは、瞬きすら忘れているのではないかと思うほど、舞台の上を見つめている。

その先にあるのは。



・・あれは、上級巫女の、レア、だったかしら。



ディスコルディアは、巫女の任命式のときに、いつもは適当な兄が、

珍しく上級巫女になる少女に、異を唱えたことを思い出した。



・・そうだわ。ウェスタ創世記をよどみなく暗誦して上級巫女になった少女だ。



ディスコルディアは、レアの素晴らしい語りを思い出して、マルスがたんに興味を抱いたのだと思った。

だが、兄の熱い視線は、単なる興味と一言で切って捨てるには、あまりにも異常だった。



・・まさか、ね。



ちらと女の勘が働いたものの、相手は巫女だと、その考えを否定して、

ディスコルディアは、舞台に向き直った。







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