国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

マルスと同じように、熱い瞳で舞台を眺めるもう一人の男がいた。

男は、長旅で疲れていたが、どうしても祭祀王の姿を一目見たかった。



・・あれは、本当にレアなのか?



マルスと違い、民衆の中にまぎれて遠くから舞台を眺める男からは、

レアの姿は豆粒のように小さくて、とても顔まで確認できない。


すでに6年も会っていない男からすれば、目の前で彼女を見たとしても、

はっきりそうだと断言できるかどうかの自信もなかった。


最後に会ったのは彼女が10歳の時で、それからの6年といえば、

顔も体もすっかり変化してしまっているだろう。


男はなんとかして舞台に近づこうと、人ごみを掻き分けて前へと進んで行った。




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