国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
雨に打たれながら、やっとの思いで人の波を泳ぎきり、舞台近くにやってきた男は、
中年の女性に手を引かれて舞台を下りていく少女の顔を見ようと、必死に目を凝らした。
・・レアだ!!
別れた時の面差しをそのままに、美しい少女になった彼女を、男はようやく探し当てた。
・・レア、必ず君を助け出すからね。
自分が知らぬ間に、父親が賭博で築いた借金のかたに、奴隷として売られていった哀れな妹を思って、
男は握ったこぶしに力を込めた。
いったんウェスタの巫女となったものは、家族といえど、男性との面会はそうそう許されるものではない。
男は何とかして自分の存在をレアに知らせようとしたが、
舞台を警備している兵士に阻まれて、それ以上前には進めなかった。