国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
緊張した面持ちでいるレアの前に座ったのは、自分と同じ黒髪をした若い青年だった。
「どうされましたか?」
レアの声に、うつむいた男の肩がぴくりと動く。
男は、ゆっくりと顔をあげると、小さな声でつぶやいた。
「・・レア」
「はい?」
名前を呼ばれ、反射的に返事をしたものの、どうしてこの人は自分の名前を知っているのか。
自分を見つめる男の瞳に、レアは、確かに覚えがあった。
「ラウスス・・・兄さん?」
レアは、一瞬息をとめて、小さな声を搾り出す。
男はレアの声に、嬉しそうににっこりと笑った。
「ラウスス兄さん!!」
間違いない。レアは、その笑顔に確信を持った。よく手をひいて街に連れ出してくれた兄だ。
いつもやさしく頭を撫でてくれた兄。
沢山の思い出が、昨日のことのように鮮明に思い出され、レアは気付けば涙を落としていた。