国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
そんなレアの様子に、ラウススは当然のように彼女の頭を撫でる。
レアは、その懐かしいぬくもりにそっと目を閉じかけたが、はっとして後ろを振り返った。
レアの手伝いをしていた巫女は、足りなくなった薬草を取りに貯蔵部屋まで行ったらしく、
いつの間にかいなくなっている。
「大丈夫。ここにいた巫女なら、さっき席をはずしたよ」
レアの思いを汲み取って、ラウススはやさしく話しかけた。
少し離れたところでは、別の巫女たちが病人を治療している。
様子を窺いながら、レアはそっと涙を拭った。
「ラウスス兄さん、どこか具合が悪いの?
私で治せるといいんだけど」
レアは、てっきりラウススが具合が悪くて偶然治療に来たのだと思い、心配そうに声をかけた。
「いや、どこも悪くない。お前に会うために2ヶ月も治療の順番を待ったんだ」
「まぁ!」
レアは慌てて口元を掌で覆った。
「それじゃあ、仮病なのね?」
ラウススは応える代わりに、苦笑いをして頭をかいた。