国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「お腹が痛いとか、熱があるって言えばすぐに診てもらえたんだろうけど、
とっさに足が痛いって言ってしまったんだよ。
そしたら、巫女が僕の足をみて、すぐに診察の必要はない、って言われてね」
「最初に中級巫女が患者さんの重症度を判断するのよ。
でも、逆に良かったわ。私は軽症の患者さんしか診れないもの」
「どうしても、祭祀王をやった巫女がいいって、駄々をこねたんだ。
そしたら、二ヶ月待ちなさいって意地悪を言われたのさ」
片目を瞑って、笑ってみせる兄に、レアは心からの笑顔を見せた。
久々に会った兄が、病気ではなかったことも、もちろんうれしかったが、
わざわざ自分に会いに来てくれたことに深く感謝した。
ふいに、そんなに長い間、家を空けている兄に、両親が何も言わないのかが気にかかった。
「父さんと母さんは、どうしているの?
ラウスス兄さんがいなくて、大丈夫なの?」
レアの言葉に、今まで楽しそうに笑っていたラウススの顔が、曇りを見せた。
・・何か、あったのね?
ラウススの表情を見て、レアは、それが悪い報告なのだと直感した。