国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

レアは、自分も母に抱きつこうと、思わず駆け出した。

しかし、どんなに必死に近づこうとしても泥沼にはまったかのように、足が前へ進まない。


レアは、息を切らせながら、両手も使って懸命に一歩前へ踏み出そうとするのだが、

近づくどころか、だんだん母から遠ざかっていく気がした。



・・母さん!!



声を限りに叫ぶのに、母はいっこうに自分に気付いてはくれない。

幼い自分の手を引いて、笑いながら去っていこうとしている。



・・だめよ、母さん。そっちには底なし沼がある!



なぜかそう思ってレアは母を引きとめようとしたが、

二人は笑いながら、底なし沼へと引きづり込まれていく。



・・お願い、私の手を取って!!



レアは、死に物狂いでわめき散らしたが、幸せそうな二人に自分の声が届くことはなく、ただ自分の手だけが空をさまよった。



・・あぁ!



レアは、体中が真っ二つに引き裂かれたような痛みを感じて、その場にしゃがみこんだ。





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