国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

月明かりが逆行となって、サラの表情が良く見えない。

しかし、明らかにサラが窺うような様子になったことに、レアは気付いた。


「患者さんは、診療しないで帰ってしまわれたわ。他の上級巫女が診るって言ったんだけど」


「そう」


「レア、あの患者さんって。ひょっとして、レアのお兄さんじゃない?」


サラの質問に、レアはごくりとつばを飲みこんだ。


「どうして?」


「髪の色が同じで、どことなく雰囲気も似てたし。

瞳の色は違ってたけど、前にお兄さんの話を聞いたことあるでしょ?


レアが倒れたとき、血相変えて、他の巫女を呼んだんだよ。

なんか、必死な感じが伝わってきて。だから、もしかして、って思ってさ。

あ、嫌なら言わなくていいよ。詮索するつもりはないから」


サラの洞察力の鋭さに舌を巻いたレアは、観念したようにつぶやいた。


「母さんがね」


「うん」


「死んだって」


「えっ!!」





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