国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

サラはそれきり何も言わず、ぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。


「やだ、なんでサラが泣くのよ」


「ごめんね、レア。本当は、私が泣くなんてだめなのに。

レアが我慢してるのに、私。でも・・・レア」


二人は、どちらからともなく抱き合うと、そのまま何も言わずにお互いを暖めあった。


その間も、まるで乾ききった砂漠のように、レアの瞳は何の反応も示さず、

ついに涙が湧き出ることは無かった。

それがなぜなのか、レアにはわからなかった。

母の死が嘘ではないと感じられるのに、まるで他人事のように感じられて、

遠くから、もう一人の自分が自分を見下ろしているような気分だった。


ちょうど今しがた夢で見た、幼い自分を見ているように。


「ありがとうね、サラ。私のために泣いてくれて」


レアが体を離して微笑むと、サラは顔を上げて、服の袖口で涙を拭った。


「レア。私で役に立つことがあるなら、何でもするからね」


サラの気持ちが嬉しくて、レアはほんの少しさびしそうに微笑んだ。


「私ね、サラと一緒でよかった。一人なら、きっと巫女になんてなれなかったよ」


レアの言葉に、止まっていたはずのサラの涙がもう一度頬を伝って、床に一粒のしみを作った。








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