国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
自分を心配するサラが、何度も振り返りながら部屋を後にすることに、
ありがたいと思いつつも、うっとおしさを感じている自分を見つけて、
レアは、自分自身に心からぞっとした。
・・私は、ひょっとして冷たい人間なのかもしれない。
母が死んだというのに、涙一滴こぼさず、幼い自分に嫉妬し、
今また、自分を心から心配してくれる友人に対して、酷い感情を持ってしまった。
そう考えると、何もかもつじつまが合うような気がする。
レアは、クリナリア祭でのことを思い出していた。
燃え盛る炎。逃げ惑う群集。
ウルウをはじめ、皆、よくあの場をおさめたと、褒めちぎってくれた。
しかし、本当にそうだろうか。普通の人間なら、一緒になって逃げ出したはずだ。
もしくは、人々を避難させるのがもっとも正しい行為だった気がする。
しかし、自分がとったのは、祝詞を唱え続けることだった。
結果的に、人々が冷静さを取り戻し、偶然の雨に助けられ、大惨事にならずにすんだが。