国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ウルウは手燭を台の上に置くと、ベッドのわきの椅子に腰掛けた。
手燭の明かりは、部屋の中に陰影を作り、レアの右半身を輝かせ、左半身を闇へと同化させた。
「レア。あなた、何か悩みでもあるの?」
ウルウの厳しい表情が、気のせいか、いつもよりほんの少しだけ緩んでいる。
上級巫女に任命された頃から、レアの様子がおかしいことに、ウルウは気付いていた。
それは、レアがただ一人上級巫女に任命されることで生じる問題で、
時間がたてば自然に解決できることだと捉えていたから、
今の今まで、ウルウは何もせず、ほおっておいた。
しかし--。
レアは、自分でもどれが自分の真の悩みなのかはっきりとしない、それすらも悩みだった。
マルスとのこと、上級巫女としての責務、それに見合わない実力、救えない患者の命・・・。
ただ、今はたった一つだけはっきりしていることがあった。
「ウルウ様のご家族は、健在でいらっしゃいますか?」
レアは、ウルウに話だけでも聞いてもらおうと口を開いた。
たとえ、今すぐ答えが出なくても、日々は同じように巡ってくるのだ。
レアの問いに一拍置いてから、ウルウは、ええ、と答えた。