国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

その夜、レアは夜回りの当番だった。

このウェスタでは、火を神聖なものとしてあがめ、

決して炎をたやさないようにしている。

円形の建物のそれぞれの柱に置かれている炬火(たいまつ)の明かりを、

たやすことなく燃やし続けるのが夜回りの仕事だ。

壁の高いところに腕木で突き出させた燭台が置いてあり、

そこに挿してある炬火を新しいものに交換していく。


月がこうこうと輝き、薄明かりに照らされたレアは、かごの中に葦(よし)で作った炬火をさげ、

灯りを持たずに神殿の中を見回っていた。



・・この夜回り当番も今日で最後なのね。



最後だと思うと、辛かったはずの夜回りも、妙に感慨深く、

楽しいことのように思えてきて、レアは一人で微笑んだ。



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