国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
月が神殿の真上に輝き始めた頃、暗い道のりを、慣れた様子で小さな影が移動していく。
その影は、目的を持っているように、迷うことなくずんずん進んでいくと、
その先に、ずんぐりした影がたたずんでいた。
二つの影が寄り添うようにそっと重なる。
「なにがあったのだ?知っていることを話せ」
ずんぐりした影をした男が命令すると、小さな影がためらいがちに口を開いた。
「・・はい。
レア様の兄上様が面会に来ていたときに、施薬館に王がいらっしゃって、
突然お怒りになって、兄上様を捕らえました」
「兄だと?では、ホーエンが捕らえた男はあの女の兄というわけか・・」
「・・・」
風に流された雲が、月の光をゆっくりと飲み込み、あたりの闇が深くなった。