国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
強盗に押し入られたかのように、扉が乱暴に蹴破られると、
部屋の主は、そのまま手に触れる範囲の、あらゆるものを引き倒した。
慣れない者が見れば、本当に強盗が入ったのかと驚くところだろうが、
そばに控えていた侍女たちは、お互いに目配せをすると、顔色一つ変えず、そのまま部屋を下がった。
・・くそっ!
やっとの思いで一日の政務を終え、押し殺していた感情が爆発する。
マルスは、もはや、レアの何もかもが気に入らなかった。
兄のために、涙をため、
兄のために、懇願し、
兄のために、罰を受けると言う。
・・あんな女!忘れてしまえばいい。
レアの姿が、自分の母の姿に重なる。
無責任な父を、最期までかばい続けて逝った母。
マルスは、寝台に体を投げ出すと、両腕で顔を覆った。