国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「マルス様・・・」
潤んだ瞳で見つめられ、マルスは男としての本能が体の奥底から一気に膨れ上がるのを感じていた。
暗闇でも光を放つ、艶やかな黒髪。ふっくらとした愛らしい唇。
震える細い肩。ほんの少し覗き見える鎖骨--。
このまま押し倒して、レアの何もかもを奪ってしまいたい衝動に駆られる。
なんどか味わった柔らかい唇に触れ、自分の欲望を満たしたい・・。
しかし、マルスは、ぎゅっと目を閉じて、その本能を精神力で押さえこんだ。
今の自分は、レアにふさわしくないのだ。まだ--。
そう、“まだ”。必ず、必ずふさわしい男になって、レアを奪いに来る。
マルスは強くその誓いを心に刻むと、部屋を去ろうと立ち上がった。
太陽が昇りきったわけではないが、空がうっすらと白んでいる。
「すまない、レア。お前の睡眠の邪魔をしてしまった」
これから行う一日の労働作業を思えば、徹夜明けの体に厳しいだろうことは、
想像に難くなかったが。
「いえ、毎日2時間ほどしか寝ておりませんから、大丈夫です」
レアは、こともなげに言ってのけた。